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グールドとダリ

今日、久しぶりに泣いた。
というか、ピアノを聞いて泣いたのは初めてかもしれない。

グレン・グールドの「ゴルドベルク変奏曲」
グールド晩年の録音。
こんなに大胆なバッハの解釈を彼はしていたのか。

現代人のバッハの解釈に正解はない。
ともいえるのろうが、やはりバッハが志向した音楽というものもあろう。
グールドは恐らくバッハの一番の解釈者だったに違いない。


或いは、まったく逆の解釈。
というのも、彼がバッハの作品を「再」作曲しているとも感じられるから。
そのような、ひき方、彼の明るいエネルギーに満ちた変奏。
アリアをあの速度でひくことを一体バッハは想像しただろうか。

そもそも彼のモノラル録音は2分、晩年は3分。
この一分間の違いは我々が電車を乗りそこなう、とか、カップラーメンが伸びる、とか。
そういう次元では全然なくて。
もはや、これは音楽の変容を生んでいるような気がぼくはする。

明らかにポリフォニーを想定して作曲したバッハの意図から外れるような演奏ではあるまいか。
一音一音がこれでもかと引き延ばされ、もはやポリからモノ、とまではいかないが、とにかくバッハが想定していた、よりポリフォニックでセイクリッドな響きとは違うものというのはわかると思う。

最初聞いたときは、「おっそ、何これ、グールドもうろくww」とか思ってモノラルの方が好きでしたが(笑)
よくよく聞いてみると、深みというか、彼の真の狙いが少しだけ見えてくるような。
彼のアリアは単一としてではなく、全曲の中で相対的に存在するアリアのように感じる。
アリア単体ならば、モノラル版の方が断然聞き易いし、流れもいい。
モノラル版も「ゴルドベルク変奏曲」を大きな1つの作品としてとらえてはいよう。
だからこそあの流れるような、「ふさわしい」というよりも、より「自然」なゴルドベルクになるのだから。
しかし、晩年のグールドが奏したのは、曲と曲との相対的関係を最大限に生かしたもののように思える。


グールドはよりモノな響きを、ゆっくりと字義どおりのアリアを再現するかのように演奏しているような。
そんな印象。
やわらかな光がゆっくりとカーテンの隙間からさしてくるような。
そんな印象。
そこにはどこか、メランコリックな感情も含まれているような。
印象。

しかし、第1変奏から始まる世界の広がりには、もはやそのアリアの片鱗は見えない。
あるのはただただ響きの明るいバッハ。
そこから宇宙へ展開していくような気がする。
アリアから第1変奏への展開は、まるで1つの鍵盤から無限に広がる宇宙が広がっていく(表現チープww)感じ。
あまりの激しさに一瞬息を飲む。
ここで、初めて涙。
静寂からのビッグバンとでも形容すべき展開。
アリアにおけるモノフォニックで静寂な緊張感は、正直息苦しさを伴う。
そのモノフォニーへの潜水にの3分耐えると、ようやく息継ぎをすることができる。
第1変奏の第1音から世界は広がっていく。
宇宙が拡大していくかのように。

ダリのフェルメールの「レースを編む女」に対する認識と似ている気がする。
針の先から広がる宇宙。

グールドとダリは似ている。
同時代にいたということも関係があるのだろうが、その敬愛した対象もまた似ているのだ。
17世紀、中世ヨーロッパ。
フェルメールとバッハ。
カメラ・オブスクラと対位法。
特に根拠はない。
ただそう思う。
同じ程度の天才なんだと。

ケージとグールドも似ている天才だと思うのだが。
それについてはまたあとで書こうかな、と。

hona-☆
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多田K馬

Author:多田K馬
東京の大学に在籍していて、吹奏楽のサークルでサックス吹いてます♪つれづれに色んなことを書いていくつもりなので、趣味がある方は是非コメントを☆
趣味は、音楽鑑賞(ホールでも家でも)絵画鑑賞(美術館で)映画鑑賞(家でw)読書(電車でw)などなど割と雑食。

それぞれで特に好きな作品は・・・

音楽:アストル・ピアソラ、ヨハン・セバスティアン・バッハ、安藤裕子
絵画:クロード・モネ、アンリ・ルソー、シュルレアリスム
映画:勅使河原宏、北野武、中島哲也
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